10年前

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虫かごを置いて陽平が座る。 おばあちゃんが持たせてくれた水筒のお茶を喉を鳴らして飲むと、顔いっぱいに笑顔を浮かべる。 「やっぱココはおもしれーな!来年の夏も絶対また来ような、葉月」 「うんっ。絶対!」 アオイちゃんにきゅっと抱きついて、私は笑う。 「せっかく友達になれたもの。来年の夏休みも、また一緒に遊んでね!!」 ほんのり恥ずかしげに、アオイちゃんがうなずく。 せせらぎがきらめいて、私たちの座り込む草むらに風がかけぬける。 誰ともなく、小指をからませた。 「やくそくっ!!!」
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