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「葉月、眠そうだな。無理…してねーか?」
「んー。大丈夫。夏休み中の宿題とか、片づけようと思って昨日の夜、夜更かししただけだから」
「夏休みの宿題て。夏休み始まったの、昨日からだろが」
陽平のあきれた声に私は頬をふくらます。
「いやっ、だって、おばあちゃんとこ着いたら、勉強なんかしている暇ないもん!ほら、アオイちゃん、探さないといけないし!」
アオイちゃんの名前を聞いて、陽平はじゃっかん眉を寄せる。
「またそれか、葉月。お前、それが本当の目的じゃないだろ、今回のばーちゃんちは」
「それは……そうだけど」
窓の外を見やる。
ちょっと眠った間に、すっかり景色は田園風景。
「でもやっと行く機会ができたもの。会いたいじゃない」
「気持ちはわかるけどな。もー何年も前だぞ。あいつ、絶対地元の奴じゃないっぽい空気ばんばんかもしてたじゃねーか」
あの白い肌を思い出す。
「確かに。陽平のほうが、よっぽど田舎ボーイ」
…と、デコピンがおでこに炸裂する。
おでこを抑えてにらむと、陽平は「かかかっ」と笑った。
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