第1話 はじまりの朝

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彼がこんなふうに彼女に抱きつくのは何か心配事がある時や何か嫌な事を感じた時のみだ だから彼女は抵抗しない 「感じるの………?時従」 「…………だめだよ、みのり…… 行ってはだめ…… 今日は1日ここに居て…… お願い………みのり」 此処まで弱った彼を見るのは彼女も、久しぶりだった それでも…、と彼女は思うと自分を抱きしめる腕にそっと手を置く 「大丈夫だよ、時従 私はあの頃のままじゃない 彼らが動き出したなら私が止める」 彼女ははっきりそう言う そして、彼の腕の中で振り返り、けして意志を変えないって感じの強い瞳で彼を見つめる こうなったら、彼女は意志を変えない それを、知っている彼だからこそ不安になる 彼は、これから此処で何が起こるかをすべて ・・・・・・・ 見えてしまったからこそ不安になる 彼女は仲間を守るためにならどんなことでもする そう、…………………… ・・・・・・・・ 自分の命を捨てる事さえも簡単に―――…… .
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