夢作り

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「よし、全員居るな?」  場所は教室。横井先生の声が教室に響く。クラスは言葉通り全員席に着いており、どうやら三咲とはクラスは違うらしい。  今までずっとクラスも同じだった為、変な違和感がある。 「それでは、お互いに面識が無い奴が多いだろうから自己紹介いくぞ?」  その言葉にクラスのテンションが上がる。やはり、こういうイベントは楽しいからね。  でも、俺はしたくないな。バレるから。 「まず、担任である俺から自己紹介をしよう。名前は入学式前に話したとおり、横井澄だ。担当教科は地理を担当する。このクラスの授業も受け持つから、よろしくな」  横井先生の言葉は聞きやすく、きっと授業は分かり易いんだろうな。うん。多分。 「よし、次は安藤から順番に後ろに回していけ」  あぁ、やはり。あ行の人なら分かるだろうか?この先頭を強制的に切らされる気持ち!  しかも、三咲のせいか知らないが……ほら、なんか超視線感じるしっ。  ともあれ、自己紹介をせずにこのままとはいかない。俺は立ち上がりクラスメイトの方に顔を向ける。 「初めまして。安藤拓海です。趣味はランニングです。この一年、よろしくです」  言い切った。うん。言った。   例え、クラスの奴らが『自己紹介それだけで終わるのかよ?』って、明らかに不満そうな顔をされて視線を向けられてもそれだけだ。  何せ、俺にはお前らが望む自己紹介は出来ないんだからな。だって、自分でも吃驚してる内容を自信持って言えるかよって話だ。  そう、心に言い聞かせ視線を下に向け席に座ろうとした時―― 「あ、それで終わりか?もっと紹介しとけ。そうだな――名前、趣味、入りたい部活、意気込み。それぐらいは言え、な?その方が後々会話もし易いだろ」  横井先生の有り難い、有り難い……思いやりが心に響きました。 「え、えっと……」  俺がまだ自己紹介で言ってないことは『部活』について。一番、出来たら触れたくない内容だ。  しかし、言わない訳にはいかない。言わない方が高校生活に支障をきたしそうだからな。 「部活はまだ、決めてません。今在る部活にも興味ないです。以上!」  
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