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「――えー、以上で、私の話を終わりにします」
話の大体を聞いていなかったが、どうやら終わったらしい。周りを見渡すと同じく欠伸をしていて、いかにも寝てましたっという生徒が多かった。
だって三十分近く長々と話をされては……ね
「次に新入生代表の挨拶をしてもらいます」
お、次は新入生代表の挨拶だ。代表は確か、専願であり尚且つ入試でトップだった人がするんだっけ?
毎年、ここで挨拶する人がこの学校の生徒会長になると言われてる。今年は誰がするんだろ?
「それでは三咲 四季さん、壇上に上がってきてください」
「――え?」
校長のその言葉に驚き、そして、目の前では確かに俺の知っている三咲が壇上に上がっている。
何故?
目を擦るが確かに三咲だ。
「えー、恐らくこの中に私が何故、ここに立ってるのか疑問に思ってる方が居られるでしょう。お答えします。専願で受け、そしてトップで受かったからです」
いやいや、三咲は県内でトップクラスの県立高校を受験したんじゃ……そして、三咲は頭が賢く、塾、学校の教師に『絶対大丈夫』と言われてたはず。
まず、専願だから落ちた訳じゃないから――あぁ、分からない!
「まぁ、正直高校って理由とかなく入学する人多いと思います。でも、私は入学したらしようって決めてる事があります!」
会場がざわめく。だって、そりゃそうだ。言ってる内容が最早、新入生代表の発言じゃないから。
そして、何故か。何故か知らないが胸騒ぎがする。こう、良くないなにか。
早く誰かこの子を止めて。
そんな気持ちを余所に三咲は続きの台詞を大きく息を吸い込み吐き出す様に告げた。
「それは安藤拓海が創設する、部活に入ることです!」
この言葉により、俺の高校での夢は無理矢理、三咲によって作られてしまった。
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