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…言うだけ言って即退場かよ…
由宇は私と香澄を見ると、ヒヨコに口を開く。
どうやら由宇が仕切ってくれるらしい。
「えーと、片瀬です。全般的な内容を指揮官からの立場で指摘、指導をしていきます。」
そこまで言うと、私を指差した。
「彼、石井少尉には、狙撃を中心とした技術指導、観測手へのアプローチ等を指摘、指導してもらいます。」
…どうやら、役割分担を説明するようだな。
香澄を指さすと、言葉を続ける。
「彼女、浅井少尉には、索敵・警戒を中心とした技術指導、狙撃手へのアプローチ等を指摘、指導してもらいます。」
役割分担の説明をヒヨコにすると、今後のカリキュラムの説明を続ける。
「自己紹介等は省略します。やってきながら相互理解をしましょう。この後、基礎能力判定を行います。」
そこで、ヒヨコから手が挙がる。
…小学生か?…挙手なんて久しぶりに見たな…
「基礎能力判定については、既に済んでおり、資料もあるはずですが、実施する理由を教えてください」
…もっともな理由だが、理由を説明するのは必要か?
由宇を手で制し、私が口を開く。
「基礎能力判定についての資料はあるのだろうが、経験的にその項目が狙撃隊の特性に合っていないと判断した。ところで、この質問の目的は何かな?」
私の言葉にヒヨコその1が顔に疑問符を書き出した。
「既にしているから、必要ないとの判断での質問かな?」
そういうとヒヨコその1は頷いた。
「んーー。君、腕立て伏せ30回」
げっ!という顔をしているが、軍隊では上官の命令は絶対だし、教官ともなればその強制力は言うまでも無い。
腕立て伏せをはじめる。
「腕立てしながら聞いてくれ。今の問いに、2度手間という判断はいただけない。行動指示に対する裏の意図を探る意味での君の質問であれば、君は腕立てをしなくて済んだ」
そう言うと、視線で由宇に主導権を渡す。
「今のように、厳しいがそれなりの理由があっての事なので、罰に対する理由の開示は必ず行います。では、腕立ても終わったようなので基礎能力判定に移ります」
そう言うと、香澄に視線を送る。
観測手の特性から調べるようだ。
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