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私は香澄に向かうと耳打ちする。
「多少、ラフに隠れようか?」
そう言うと、香澄からの答えは意外なものだった。
「大丈夫。さっき教材を買ったから」
…?…
確かにPXで何か買ってたが…。
そう言うと、香澄は袋から雑誌を取り出した。
…雑…誌?…
適当にバッサリとバラすとそれを配る。
間違い探しの懸賞雑誌だった。
「空白の場所に名前を書いて、今から3分で間違い探し。よーいはじめ!」
あわててヒヨコがペンを出して、始める。
…なるほど…。
由宇も感心しているようだ。私に話しかける。
「なーるへそ。索敵能力から入る訳だ…」
「私も彼女の索敵には絶対の信頼を置けるからなぁ」
ひとしきり感心していると、3分が経過した。
「はい、終了。続いて石井少尉のテストです。よろしく」
…まぁ後は警戒だけだけど、索敵はこれだけで本当に良いのか?…
疑問は多々あれど、香澄が納得するなら良しとした。
続いては私の番か。
考えていない訳ではないが、口頭質問で何とかするか。
「今から一つ問いかけをする。自分の思う回答を答えること。複数でも構わない」
そう言うと、ヒヨコは揃ってコクコクと頷く。
腕立てに怯えたか?
まぁいい。
「狙撃手に必要なものは何だ?銃とかそういった物質面ではなく、精神面や感情面での回答を先頭列左から順に。あと名前も言ってくれるか?」
そう言ってメモを準備する。
「忍耐力」という声が圧倒的に多かった中、数人が違う答えを導き出した。
一通りメモを残した所で、私のテストは終了だ。
「今の質問だけで、私は終わりだ。」
そう言って30人を見るが、皆「えっ?それだけ?」と言い出しそうだ。
「物足りないなら、質問を考えるが…?」
皆、首を横に振るのを見て、由宇がまとめる。
「試験終了ということで、一時間の休憩とする。17時この場にて集合。質問その他あれば俺らに聞いてくれ。以上、解散」
そう言って手を振りつつ、3人で集まる。
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