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…私は存在しない…。
特別、影が薄いとは思わない。
むしろ普段は能天気で騒がしい方だ。
しかし、今は存在していては困る。
自身の為ではなく、部隊の為に…。
ここは西日本国尾張地区にある一つの廃屋。
元は住んでいた家族が居たのだろうが、疎開し今はおらず、私とスポッター(観測手)の香澄が潜むのみ。
夕日が辺りを赤く染めていく。
そんな中で香澄は双眼鏡と肉眼を使い分け、最小限の動きで周りを警戒する。
そんな香澄に緊張が走るのを感じた。
「朧、11時3人。他は居ない」
香澄の声に前方左側を見る。
スコープで確認すると確かに3人が警戒しながらこちらへ向かってくる。
距離およそ350m
「確認。香澄は周囲警戒」
必要最低限の会話。
香澄は肉眼で周囲を警戒しつつ、サブマシンガンを構える。
私はスコープの中を移動する3人の中でターゲットを探す。
斥候と指揮者と支援者の3人編成。
指揮者の動きが的確だ。
あの中ではベテランになるのだろうか?
私はあえて指揮者を狙う事にした。
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