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二つ名
香澄の採点が一通り終わった後、3人で雑談していると、訓練生が2人こちらに歩いてきた。
…確か、三島と臼井だったか?…
「すみません。質問良いでしょうか?」
口を開いたのは臼井だった。
私の質問に忍耐力と答えたその他大勢の中の一人だった。
「俺かい?浅井?石井?」
人当たりの良い由宇が受け答えをする。
「石井少尉の質問の意図がよく分からなくて。あの質問に僕も含め大半は忍耐力と答えましたが、求める答えは違う気がしています。正解は何だったのでしょうか?」
…まぁ妥当な質問だなぁ。
「確かに、狙撃手ってのは敵にも仲間にも好感情を持たれない。
一度決めた位置からは一撃入れるまでは極力動かずジッとしてるし、銃火にさらされる仲間を無視しなくてはならない場合もあり、忍耐力は必要だとは思う。
しかし、私の求める回答は君の言う通り、忍耐力ではない。三島君の答えた感情制御といった類の回答」
そう言うと、三島を見た。
そして、三島を見たのは臼井も同じだった。
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