二つ名

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臼井は考えを纏めると、質問を返した。 「敵の詳細をお願いします」 言葉遊びと考えず、真剣に考えている証拠だ。 「敵は3名で、斥候はアサルトライフル、指揮官がサブマシンガン、支援者がマシンガンを装備。 斥候・指揮官・支援者の順で徒歩による警戒移動中。 距離は350m、無風・夕方・快晴・月齢2日。敵兵の熟練度の高さは指揮官・支援者・斥候の順」 必要な情報は一通り説明した。 答えを出すまでに、暫くかかった。 「指揮官を狙撃後、移動し撹乱しつつ斥候・支援者の順で、隙を見て射殺でしょうか」 …一般的な回答だな… 「うーー。私からすると30点。一般兵としては模範解答だろうがなぁ」 そう言いながら三島を見る。 「三島君の回答も聞いてみたいな」 三島も質問を振られるとはあまり思っていなかったようだが、聞き流してもいなかった。 「200mまで接近を待ち、指揮官を狙撃・行動不能にします。 その後斥候・支援者の順で狙撃射殺後、指揮官を射殺します」 …ドヤ顔なのは置いとくとして、感情制御というだけあって、徹底的なリアリストだな… 「私としては70点をあげたいね」 そう言うと、三島の表情が少し変わる。
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