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「指揮官の無事な左膝を打ち抜く」
三島は息を呑み、臼井は目を剥く。
香澄は目を逸らし、由宇は驚きを隠さない。
「支援者を監視するが、相変わらず隠れたままなので、次は指揮者の右手を打ち飛ばす」
三島の顔色が変わっていく。
「同じ様に、指揮者の左手を打ち飛ばした時に、支援者はマシンガンをバラ撒きながら救出に飛び出したので、支援者を射殺後、指揮者を射殺」
三島、臼井の顔色は既に白を通り越し青い。
「これがこの間の戦闘だ。感情を殺せなければ、狙撃手にはなれない」
三島と臼井は何かを言おうとするが、言葉が見つからない様子だ。
由宇は驚いてはいるが、それだけだ。
三島が擦れた声を上げる。
「それは…戦闘ではなく、虐殺だ。何も感じないのか貴方はっ!」
…すでに階級も何も無く貴方呼ばわりか…
…まぁ予想通りの反応かな…
「虐殺が好きなわけではなく、必要に迫られたに過ぎないさ」
こんな言葉が私の口からこぼれた。
こぼれた言い訳に近い言葉に自分自身一番驚いた。
「新月の…悪魔…」
臼井の呟きは、静まり返ったこの場に響き渡った。
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