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朧も無言で対物ライフルを構え、狙撃に備えた。
あたしは、双眼鏡で目標を探す。
そして、10分後には柿沼を捉えていた。
「正面城壁の上部、中央から30m左」
いつもならば、この時点で朧は普段使用するライフルの引き金を引いている。
岩沼は双眼鏡を使い柿沼を観察している。
柿沼の周囲に人はいない。
「ちっ!」
岩沼は舌打ちすると、観察を続ける。
15分後、一人の軍人が柿沼に近づく。
何かの報告のようだった。
そして2mのデッドラインを切った時、朧は引き金を絞った。
結果は予想通り胴体はバラバラ。
頭と手足は周辺に転がっている状態だ。
その日の夜、要塞内の柿沼の自宅で朧は柿沼の妻を射殺した。
顔を綺麗に残せたのは、朧の腕と思いやりか?
翌日には、柿沼の置かれている状況が要塞内に知れ渡っていた。
しかし、人望と軍人の反骨精神から、多少の違和感はあるものの状況は大きくは変わらなかった。
そして、その日の朧は軍人4名と一般人の老人1名を射殺していた。
3日目には、さすがの反骨精神も成りを潜めていた。
3日目の夜、それは起こった。
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