戦場の方程式

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あの日は新月だった。 日中近づく者がいなかった為、射殺は無かったが、柿沼が夜道を歩いていると帰りの幼稚園児が列を作って歩いてきた。 一軒ずつ園児の家を回りながら、送り届けていたのだろう。 場所は狭い路地。 身の回りに続く経験から距離を知っている柿沼は、園児であっても万が一を想定したのだろう。 慌てて引き返そうとする。 「目撃者はいない。全てやれ!」 岩沼はそう言った。 しかし、今までと状況も違う上に、相手は幼稚園児。 納得できる訳が無い。 「岩沼少尉、2mのラインは超えていません。命令の撤回を」 あたしの嘆願は聞き入れられる訳も無い。 人の意見を聞く人間であれば、初めから一般人も射殺など言わない。 「石井、撃て。命令だ」 そう言って岩沼は腰のハンドガンに手を置く。 「二人とも銃殺か?」 岩沼は重ねて言う。 …狂人+武器=狂気… そして、朧は一瞬あたしを見てから引き金を引き続けた。 発砲数は13。園児12名と引率教員1名を射殺。 …朧は吐いた… 朧に引き金を引かせた決定打はあたしの存在だろう。 元々小さな園児達は、形も残らなかった。
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