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「さて危険な人間には罰をプレゼントしたので、講義を続けます」
…たぶんヒヨコ達からすると、危険レベルのトップに香澄が入ってるだろうな…
「この試験の目的ですが、索敵に必要な能力を判定しています。索敵には、あるべき景色と現在の景色を記憶の上で照合し間違い探しをします。観察力を判断するための問題でした」
そこまで一気に説明すると、訓練生もようやく意図が理解できたようだ。皆頷いている。
「菅野君は観察力が足りません。この点については、今後自分で留意し意識的に行動を取れば問題ないと思います」
そう言って、香澄は私に視線を送る。
…フォローか…
「話の途中だが、菅野君には観測手としての能力より、むしろ狙撃手の能力が高いと私は判断している。君にも希望はあるだろうが、私としては狙撃手をお勧めする。浅井少尉、話を続けてくれ」
そう言うと、香澄へバトンタッチする。
「昨日の各自の問題に、あたしなりの点数を記載しておいたので、各自の判断基準にしてくれ。これから問題を返す」
そう言うと名前を読み上げながら問題を返していく。
一通り返し終わると、今度は私の番だ。
「さて、自分にどの程度観測手が向いているかが判ったところで、狙撃手としての能力値を発表する。
点数ではなく、私は向いていると判断した訓練生を読み上げる。
この後で、観測手と狙撃手で別れてもらうが、決めるのは各自の判断に任せる。」
そう前置きをした後、昨日の答えから可能性の高い訓練生を読み上げる。
数人なので、そう時間はかからなかった。
読み上げ終わると、由宇がまとめる。
「では、今から1時間の休憩とする。その間に観測手と狙撃手のどちらを専攻するか決めておくこと。
我々はアドバイス程度であればしますので、質問は受け付けます。以上、解散とします」
そう言って手をパンと叩くと、それが合図となって訓練生は散っていく。
が、席に残る者も居た。
…ん?三島?…
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