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「…香澄?一体何を話した?…あの安心振りは異常だぞ」
そう言うと、香澄を見やる。
「その、頬を伝う脂汗は何だろうね?香澄ちゃん?」
更に言葉を重ねた…。
…さぁ逃げ道は無い…包囲網は完璧だ…
「舐められっぱなしは気分悪いから、脅しと朧のいい加減さを説明するのに、雑誌とムシロと川のお話をしたまでよ…」
…な・に・・?…
…したのか…あれを…由宇も笑顔が引きつっているなぁ。恵比須顔が台無しだ…
……
…
…はっ!!!!…
三島へ向けて走り出した。三島は臼井と一緒に居た。
音も無く三島の背後に立つと、チョークスリーパーを極めつつ、三島を拉致した。
「しばし三島を借りる」
そう臼井に言い残し、拉致した三島をそのまま連行。
訳がわからないという表情の三島を無視し、由宇の元へ連れて行く。
「由宇、三島を連行した。口止めで済ますか?それとも川へ?」
私の余裕の無さを見た由宇は香澄と共に爆笑した。
「ぶははっ!俺らの事は香澄は口止めしてるよ。香澄は怒らせると怖いとは言ってもいいとは言ってあるようだけどね」
その言葉をきいて、三島にもようやく理解できたようだ。
「教官ってそういうところは、昔から成長してないようですね…」
…お前が笑うな…こっちは死ぬほど恥ずかしい…
「すまん。戻っていい」
そういって拉致した三島を釈放した。
その後の話で意外だったのは、香澄としては、観測手として臼井を有望株としている事だった。
自分の非を認められる人間は、香澄も認める。
臼井は今朝、私だけではなく、香澄にもあらためて謝罪に来たらしい。
「…三島と臼井か…観測手と狙撃手のペアに必要なものを感覚的に理解してるのかもな」
そうつ呟いた言葉は、香澄にも聞こえていたようで私を微笑んだ。
「そうかもね。臼井のアドバイスらしいよ。三島が朧に悩みをぶちまけるのは」
…そういったやり取りもあっての有望株判断なのかもしれないな…
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