模擬戦

3/5

92人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
10時方向、700m、4人 ハンドサインから目標を捕らえる。 …岩沼か… 「岩沼はラストにして」 香澄が声を出す。 香澄からのこんなオーダーは珍しいと言わざるを得ない。 …あーあ。怒ったお姉さんは怖いよぉ… 心で呟きつつ射撃体勢に入る。 観測手に狙いをつける。 …風がある。チョイ右に修正… 引き金を絞ると、腹部に着弾。 続いて狙撃手を狙う。 …を?隠れた…回避行動は出来ているか…未熟なりに… そう思いながらも、無用心に出して見回していた頭を狙撃。 「700m、斉藤は索敵経験不足、大橋は回避行動に努力は認めるが索敵に無駄が多い」 由宇に報告しながら、ボルトを引く。 そして、見た目はテキパキと動いているように見えるが、無駄な動きばかりな狙撃手を一撃で射殺。 「…700m、大島は移動に無駄が多すぎる」 そして、おろおろと周りを索敵警戒する岩沼をスコープに捉える。 「メインディッシュだけになったけど?」 香澄に問いかける。 「…恐怖を…」 一言だけだった。 …私には既に香澄が怖いが… 「了解…」 そう呟くと、引き金を絞る。 岩沼のサブマシンガンに着弾。 ボルトを引き、更に射撃を重ねていく。 岩沼の左手に着弾。 ペイント弾とはいえ、着弾時の衝撃は殴られた程度にはある。 右手に着弾。 右足に着弾。 左足に着弾。 「こんなもんか?」 そう言いながら、香澄を見ると、物足りなさを感じているようだが、セオリーをこれ以上逆行してまでは我を通さない。 「殺っちゃって」 その言葉に、引き金を絞り、発射された弾丸は頭部へ着弾。 「700m、岩沼は索敵能力不足、被弾時の回避行動に難あり」 由宇への報告はこんな感じだった。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加