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「えーと、香澄?由宇?」
恐る恐る声を掛けると返事はすぐに来た。
「なんだよ!朧のせいで俺は疲れた」
「なによ!朧のせいであたしは天然扱いよ」
…私に責任があったのか?…
「よく分からんが、訓練生が見てるが?」
その一言に、由宇と香澄は一瞬で姿勢を正す。
「三島は、どこから聞いてた?」
環の中の一番話しかけやすい三島を見つけると、声を掛ける。
「一般的な狙撃手の狙撃有効距離辺りから…」
思い返すと、割と最初の方だ。
「で、そっから聞いてたと?」
なんかヤな空気だ。空気が読めるのにKY扱い。私は不幸だ。
その空気はすぐに現実となった。
岩沼の私達への質問攻撃で、既に訓練生には質問に対する抵抗値は無い。
「石井少尉の言っていた、1500mって本当ですか?」
「浅井少尉は1100m先の隠蔽兵の見分けが出来るんですか?」
「石井少尉、一度アサルトライフルで700m狙ってもらえませんか?」
等など、興味本位の質問が降ってきた。
…今日の運勢はきっと最悪だな…
天井の蛍光灯を見ながら私はそっと溜息をついた。
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