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そういった二つ名が由宇に付けられているのは理解している。
指揮官としての立場からすると、半分は良い意味で半分は嘲笑の意味だ。
成功確率が極端に低く、しかし、兵を犠牲にしても何とかしなくてはならない戦局で、隊員の能力を限界まで引き出し生還する。
死んでこいと命令された作戦で、与えられた作戦詳細を無視した独自作戦で作戦目的を成功させつつ生きて帰ってくる。
そんな事を続けているうちに、下級仕官や一兵卒からは奇跡の指揮官として、命令する上官からは死に損いの指揮官や、無茶な作戦もコイツならという評価を受けるようになり、いつしかこの二つ名が広がった。
兵を無駄に死なせない事。
その指針は教導隊配属となった今も変わらない。
狙撃や観測といった目的が明確となっている朧や香澄と違い、由宇には教導隊での目的が明確となっていない。
そのため、由宇は極限状況での生還をさせる為のサバイバル技術と戦術を教えていた。
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