指令

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そして、その後語られた内容は、確かに緊急事態だった。 要約するとこうなる。 1.装甲輸送車と護衛中隊からなる輸送部隊が極秘で輸送していた 2.輸送部隊が、教導隊訓練所から20分の位置で敵1個大隊に強襲されたと無線による救援要請があった 3.装甲輸送車と兵員輸送車は自走不可能 4.現在交戦中で不利な状況にある 5.輸送中物資は極秘で詳細は説明できないが、戦局を左右する物である …そんな重要なもんを輸送するなら、もっと大軍で護衛しろよ… 横を見ると、朧にも香澄にも同じ事が顔に書いてある。 「状況は判りましたが、無理です。 兵員としてカウントできるのは、俺と浅井少尉と石井少尉です。葛城少佐も参加されるのであれば、合計4人です。 まさかさっきのは冗談ではなく訓練生も出す気ではないですよね。」 確かに、訓練生を入れれば人数だけであれば中隊規模だが、訓練生が大半では、まともに隊が機能しない。 普通に考えれば、むしろ4人以下の戦力に減少してしまう。 「…」 …ゴルァ!何故沈黙?… 「私は反対です。無理無茶無謀自殺行為。状況を説明する言葉は今挙げたもの位の評価ですよ?」 朧が沈黙に耐え切れなくなったのか、口を開く。 俺も同じ考えだ。 「それは、私も理解している。少佐という肩書きはアホでは勤まらん。 どんなイカサマを使っても構わない。 作戦の詳細は片瀬に任せる。責任は私が取る。 限界生存の二つ名を証明して見せろ」 …無茶苦茶だ… 「無茶を言わないでください。せめて優先順位を」 泣き言と判断されればそれまでだ。 しかし、全部守れと言われても無理がある。 作戦の立てようが無い。 「我々は、救援を求められたが、本来無理は承知の上だ。 私の責任で、訓練生の安全を優先として考えてくれ。時間を稼げれれば、他の部隊の救援が間に合う。 お前達3人居れば少なくとも訓練生の全滅は避けられるはずだ」 …救出できれば御の字だが、時間稼ぎがメインの作戦か…
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