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「拒否権は無いのですね。判りました。
優先度は訓練生、装甲輸送車、護衛部隊の順位で作戦を立案します。
葛城さんは少なくとも火器と兵員輸送車4台を確保してください。弾薬も出来るだけ」
それを聞いた直後から葛城は走り出し、俺は朧と香澄と相談を始める。
「拒否権が無い以上は、ゴネても時間の浪費だ。頭を切り替えて、イカサマを考えよう。
何でもいい思いつくことを言ってくれ。俺も考える」
俺らの作戦立案は他と少し違う。
ブレーンストーミングに近い。
各々が思いついたことを単体で思いついた順から言っていく。
ある程度意見が出たところで、それを組み合わせて作戦基本を立案し、そこから作戦の幅を広げていく。
今まで試した中で、一番実績を挙げている方法だ。
そんな中、朧から話し始める。
「私の思うに、装甲輸送車って事は、輸送物品は小型軽量と見る…移し変えて撤退は不可能か?」
「あたしは訓練生のレベルは既に一般的な狙撃隊に並ぶと思う」
「俺は、場所は廃墟で射線は取りやすいと思う」
「大体、どこから出てきたんだ?その敵部隊は?」
……
俺の呟きに朧と香澄が沈黙…
「確かにそうだ。戦線に近いとはいえ、この辺りは少し中に入っている。
普通に考えて大隊規模の移動が気付かない訳が無い。香澄と由宇は抜け道を知らないか?」
…ここが敵のアキレス腱か?…
「河か?」
呟いた朧の一言で、俺の頭の中でバラバラに散らばった点の意見が線に繋がる。
「そうだ。河だ!線が出来た」
線が出来た。
これは、第181小隊の中で、何度も言った言葉だ。
作戦の基本線が出来た事を意味する。
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