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詳細と人員配置を詰めた後、葛城と武器庫前に向かう。
既に、武器庫前はざわめいていた。当たり前だ。
こんな時間に叩き起こされ、寒い中、有無を言わさず武器庫前で整列待機するも、指示した人間は一向に現れない。
これは、罰ゲームか?と誰もが思っている。
俺がその立場でも同じ事を考える。
罰ゲームの方が良かったと、この後の話を聞き誰もが思った。
「諸君。喜べ。未だかつて無い特別イベントだ」
ざわめきに少し期待感と興奮の味付けがされる。
「実戦だ!」
よく出来た料理の最後の味付けは、大量の唐辛子と同じだった。
ざわめきは、恐怖で味を台無しにした。
「詳細を説明する!これは俺と浅井少尉と石井少尉が立案した」
そう前置きしてから、軽車両狙撃ペアに石井少尉・浅井少尉ペアと臼井・三島ペアと葛西・岩沼ペアと倉橋・朝倉ペアを充てる。
兵員輸送車両の狙撃隊には指揮官として片瀬中尉とその他訓練生を充て、それぞれの作戦の流れを説明する。
葛城少佐には部下数名を連れて、河の船を急襲し即時撤退という作戦を追加した。
俺は、二つ名を使うのに抵抗がある。
しかし、今回ばかりは使うしかない。
不安感の塊の状態では、新兵は動けない。
「いいか。俺の二つ名は知っているか?
限界生存なんて二つ名を良くも悪くも貰っている。俺は死ぬつもりは無いしお前達を死なせるつもりも無い。
考えうる中で生存率の高い作戦を用意した。
各自の責務をまっとうしてくれ」
恐怖が薄くなる。
薄くなった恐怖を高揚感に刷りかえる方法は存在する。
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