作戦開始

3/18
前へ
/111ページ
次へ
「正直、香澄はどう思う?私は狙撃手は何とかなるとは思うが、正直観測手の出来についてはよく分かってないんだ」 「…観測手も問題は無いと思う。少なくとも危険度の高い軽車両の方の人員は。 あとは経験次第ってところだから」 言外に、兵員輸送車両側の観測手は確実ではないと言っている。 この作戦の要は、徹頭徹尾一つしかない。 狙撃の腕だ。 正確には、狙撃手と観測手ペアの腕が全ての隊員に求められる。 「私の我侭なのは理解している上で、香澄に頼みがある」 「ん。何?」 そう応えた香澄には既に私の頼みは読めているようだ。 私と香澄の間では、作戦に関する一つの約束を決めている。 言い難い事ほど先に言う。 約束があるのでいきなり本題を切り出すべきだが、この件については我侭ということもあり前置きが必要だった。 「私は、軽車両部隊の中でも、最前列、それも突出したい」 この一言に尽きる。私だけではなく香澄にも危険が増す。 我侭と言い切る点は、香澄が反対であれば、押し通さないという意思表示だ。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加