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「正直、香澄はどう思う?私は狙撃手は何とかなるとは思うが、正直観測手の出来についてはよく分かってないんだ」
「…観測手も問題は無いと思う。少なくとも危険度の高い軽車両の方の人員は。
あとは経験次第ってところだから」
言外に、兵員輸送車両側の観測手は確実ではないと言っている。
この作戦の要は、徹頭徹尾一つしかない。
狙撃の腕だ。
正確には、狙撃手と観測手ペアの腕が全ての隊員に求められる。
「私の我侭なのは理解している上で、香澄に頼みがある」
「ん。何?」
そう応えた香澄には既に私の頼みは読めているようだ。
私と香澄の間では、作戦に関する一つの約束を決めている。
言い難い事ほど先に言う。
約束があるのでいきなり本題を切り出すべきだが、この件については我侭ということもあり前置きが必要だった。
「私は、軽車両部隊の中でも、最前列、それも突出したい」
この一言に尽きる。私だけではなく香澄にも危険が増す。
我侭と言い切る点は、香澄が反対であれば、押し通さないという意思表示だ。
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