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「これは私の我侭で、香澄が付き合いきれないと」
その先は、香澄の人差し指が私の口を押さえたので続かない。
「付き合うからその先の言葉は言うだけ無駄よ」
そう言って笑う。
笑い声に重なり、銃声も音量を増している。
戦場だ。
無線機を手に取り、由宇へ連絡を入れる。
「石井より片瀬中尉へ。先行している軽車両部隊は戦地に接近。
そちらはエリアを確保するまで現在位置にて待機。以上」
そこまで連絡すると、再度無線機をONする。
「石井より軽車両隊各位へ。私が先行する。
ある程度領域が確保できるまで、現在地にて待機する事。以上」
そこまで言って香澄を見ると、香澄の気配が鋭さを増していた。
香澄に話しかける。
「竜眼のご加護を」
そして、香澄も言葉を返す。
「絶対聖域の守護を」
いつもの言葉だ。
そして、その言葉は戦場に到着した事を意味した。
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