作戦開始

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香澄を始め、今回の作戦にて運転している者は全て、少し前から車両のライトを切り、赤外線暗視装置で運転している。 その暗視装置越しに映る景色に違和感を感じたのは、香澄の経験からだろうか。 車を停車させると、香澄は前方を注視している。 「11時方向、1430m違和感がある」 そう告げる香澄の声は緊張しているのか、少し擦れている。 …違和感…確信は無いが、変… 香澄の言う違和感に何度命を救われたか。 私はVT-10を構える。 今日は、スコープだけではなく、特殊な物も装備している。 スコープの接眼レンズ側に追加している物は、光量増幅装置で、光を何百倍にも増幅して映す装置だ。 赤外線と違い増幅する為、精度は上がるが、ライトを向けられると暫く使えなくなるほど脆弱だ。 助手席のダッシュボードに銃脚であるバイポッドを設置し、銃を安定させる。 射撃の邪魔にならないように、香澄は軽車両のフロントガラスを倒す。 11時方向をスコープ越しに探していくと、確かに違和感がある。 廃墟の中にある街道の植木。 …なぜ今の時期に青々している?移動するツツジは世界中探しても居ないぞ… 香澄の赤外線暗視装置はトラブルには強いが、全ての色が失われ、緑と黒の世界となるので、違和感として映ったが、私の増幅装置は光の増幅のため、色はそのまま見える。
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