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場所を聞き、狙っている時に私の体が一瞬揺れる。
…右肩か…
ばら撒かれたマシンガンの一発だろう。
血は止まらない。
構わず狙い、震える指で引き金を絞る。
結果は、心臓直撃。
…流石にヘッドショットは無理か…
「香澄、1000m以内の敵を中心に教えてくれ」
今まで言ったことの無い会話。
撃たれた経験は無い訳ではない。
戦地移動中に腕を掠めたこともある。
作戦中に足を撃たれたこともある。
しかし、作戦中に肩を撃たれたことは無い。
狙撃精度は極端に下がる。
「被弾したの?見せなさい」
そう言って赤く染まった上着を脱がせ、肩の傷を見る。
「抜けてるか?」
弾が体内に残っているとあんまり嬉しくない状況だ。
貫通してくれていた方が嬉しい。
「…抜けてる…後たぃ…」
香澄の飲み込んだ言葉はある意味で正しい。
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