作戦開始

15/18
前へ
/111ページ
次へ
後退して、他の狙撃ペアに役割の交代を… しかし、集中砲火を食らっている状況と、交代できるだけの腕を持つ者がいない事実の前には、飲み込まざるを得ない。 「香澄は観測を続行だ。気合と根性で精度を底上げしてやる」 …ここにきて精神論を語るとは、私も無茶になったなぁ… 状況を理解できている香澄としては、与えられた役割を続けるしか方法が無い。 我慢が漢の道と言うならば、それを立てるも女の道。 香澄も腹を決めた。 「2時1100m2人…距離あるけど底上げするんでしょ? …怪我したなら、終わった後のビールは諦めなさい」 そう言って他の敵を探し続ける。 「位置は了解したが、ビールはお預けかよ…やる気が抜けるなぁ…」 ボヤキが出せるならまだ大丈夫だ。 そう言い聞かせて、銃を構える。 ボルトを引くのも正直辛いが、出来ないわけではない。 苦労してボルトを引くと、構える。 今までの座位姿勢では肩への負担が大きい。 伏臥姿勢での狙撃に切り替える。 障害物が増える関係で狙える範囲が狭くなる。 …さすがにちょっとマズイか?… それでも狙える範囲に敵は居た。 狙いを定め、引き金を絞る。心臓周辺に着弾。 やはり、精度は落ちているので、ヘッドショットは無理だ。 体の中心にある心臓を狙わざるを得ない。 脳を破壊するヘッドショットと心臓では、撃たれた者の痛みの度合いが違う。 極力ヘッドショットを心がけていたのだが、今はそんな余裕は無い。 再度苦労してボルト操作をすると、狙って引き金を絞る。 もう一人の方も、心臓周辺に着弾を確認。 「片瀬より浅井少尉へ、回収完了。撤収する」 …思ったより早い…
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加