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RTB
帰還した私達を待っていた由宇は、笑顔だった。
後ろには、訓練生が整列している。
…助かった。怒られる事はないか…
「よー朧、香澄、お疲れさん。
護衛部隊は手当てを受けている。
で、朧は白兵戦でもやったのか?肩の足跡…」
よく見ると、泥で軍靴が判別できるレベルまで汚れている。
「あぁ。大丈夫だ。
一方的にやられた感はあるけど、そんなに傷は酷くない」
それを聞いて安心したのか、由宇はホッと溜息をつく。
そして、香澄に由宇の予備動作無しの裏拳が飛ぶ。
「っ!!!」
油断していた香澄に避けられる筈も無く、勢いに任せて地面を転がるしかない。
…由宇って確か白兵戦得意だったなぁ。
香澄大丈夫か?…
流石に少し心配になってきた。
「香澄、大丈夫か?」
声を掛けると、その声に重なって由宇の声が静かに上乗せされる。
「朧、自分の心配は?」
そう言って、由宇はジャンプすると、両足を揃えて、一気に伸ばす。
それはもう見事な、完璧な、教科書に載っているようなドロップキックだった。
(↓↑→KK:格ゲー風だとこんな感じか?)
そして、伸ばされた足は一直線に右肩へ侵攻する。
「っ!」
当然、避けるだけの体力が残っている訳も無く、地面に転がる。
地面を転がり、そのままの勢いで立ち上がる。
右手は上がらない。
左手をガード位置に移動。
隣では香澄が両腕で防御する同じ姿勢。
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