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…は?
私の耳は聞き入れる事を拒否しつつも仕事を果たしたが、頭は理解を拒否しボイコットした。
隣を見ると香澄も呆然としている。
由宇の言っている言葉にはそれだけの破壊力を持っていた。
…教…導隊…?…
呆然としていても、状況は掴めない。
確認するしかない。
「えーーっと、何の冗談かな?エイプリルフールには早いし…」
その言葉は、魔法のように由宇に刺さる。
そして、その由宇は困った表情を浮かべつつ、言葉をつなぐ。
「…冗談だったら俺もいいと思うんだけど…」
由宇にしても、頬を伝う一筋の脂汗に戸惑いと貧乏くじを表している。
状況を整理してみよう。
まず、今の軍に狙撃手は圧倒的に少ない。
…それはわかる。
そして、それに伴ってスポッターも少ない。
…それはその通り。狙撃手のサポートとしての斥候兼護衛目的だから。
状況はわかるが、何故私達が教官なんだ?
他に適任がいるだろう?
…そこがわからない。
教導隊の教官は今までもエースが行うのが一般的だ。
射殺数で言えば確かに私もペアを組んでいる香澄もエース扱いかもしれない。
しかし、それにしても納得はいかない。
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