戦地移動

1/3

92人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ

戦地移動

…は? 私の耳は聞き入れる事を拒否しつつも仕事を果たしたが、頭は理解を拒否しボイコットした。 隣を見ると香澄も呆然としている。 由宇の言っている言葉にはそれだけの破壊力を持っていた。 …教…導隊…?… 呆然としていても、状況は掴めない。 確認するしかない。 「えーーっと、何の冗談かな?エイプリルフールには早いし…」 その言葉は、魔法のように由宇に刺さる。 そして、その由宇は困った表情を浮かべつつ、言葉をつなぐ。 「…冗談だったら俺もいいと思うんだけど…」 由宇にしても、頬を伝う一筋の脂汗に戸惑いと貧乏くじを表している。 状況を整理してみよう。 まず、今の軍に狙撃手は圧倒的に少ない。 …それはわかる。 そして、それに伴ってスポッターも少ない。 …それはその通り。狙撃手のサポートとしての斥候兼護衛目的だから。 状況はわかるが、何故私達が教官なんだ? 他に適任がいるだろう? …そこがわからない。 教導隊の教官は今までもエースが行うのが一般的だ。 射殺数で言えば確かに私もペアを組んでいる香澄もエース扱いかもしれない。 しかし、それにしても納得はいかない。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加