春を待つ季節

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「梓さ~ん♪お待たせしましたぁ♪」 「ごめんなさいね、忙しいのに。さて、まずは、お買い物ね。」 「…あのう、お買い物って?」 「そりゃあもう、この季節は、愛しい殿方のために、心を込めたプレゼントを、探さなきゃ。 昴さん、谷口君に、何かしら用意してるの?」 「まだ…全然。」 「なら、決めちゃいましょう、今日。」 女3人よれば、かしましいとはよく言ったものだ。 あいだこうだと言いながら、あちらの店、こちらの店と、覗いては、あれこれ買っていく。 「ちょっと休憩しましょうか…おばさんには、きついわ。 …千秋さん、ほら、あすこ。前に入ったお店。あすこで、休憩しましょう。」 「はい。あたしも、ちょっと疲れました…。 昴ちゃん、和菓子好き?」 「あんこたっぷりは、かなわないけど…嫌いじゃないです。」 梓と千秋が、昴を連れていったのは、今さっきいた表通りから、路地を抜けきる手前のところにあった。 甘味処・あまみ と、綺麗な若葉色の暖簾に白抜きで、書かれていた。 「うわぁ、美味しそうな和スイーツ!これなら、いくらでもOKですよ!千秋さん。」 梓は、抹茶パフェ。千秋と昴は、皿に載せて貰うスイーツを、違う物にして、抹茶ラテのセットを頼んだ。 お互いの頼んだスイーツを、突き合ながら、きゃあきゃあ、言っている姿は、仲のよい姉妹のようだ。 梓は、もし、子供がいたら、いつでも、こんな風な、幸せな気持ちで、いられるのにと、無い物ねだりをする自分が、切なかった…。 「…梓さん?」 「ああ、ごめんなさい。…ちょっと、考えごとしてたの、あなたたちが、私の本当の娘だったらなぁ…なんてね。」
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