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「ただいま!」
「お帰り。…どこまで、行ってきたんだ?
なかなか、帰ってこないから、一人寂しく、夕飯食いに行こうかと、思ってたんだぞ。」
「嘘つきだねぇ。そこに、あるのは、なんですか?」
「…知りたい?…で、もって、食べたいですか?」
「もちろんだよ♪…内の旦那様は、お料理上手だもん♪」
「じゃあ、荷物置いてきて、テーブルついて。」
「了解♪」
ふんふんふん♪
鼻歌混じりに、キッチンへ戻って来ると、バターの焦げるいい匂いが、拡がっていた。
「…今日は、何?マイシェフ様♪」
「お楽しみということで、席について。」
しばらくすると、出来上がった料理を、運んできた。
「今日のメニューは、ベーコンとキャベツのポトフ風煮込みと、サーモンのムニエル、キノコのバター炒め添え。
ガーリックライスには、お好みで、ナッツとパセリをどうぞ。」
「…美味しそう!…たべていいかな?」
「どうぞ。」
「いただきます!」
…ぱくっ…むふっ…うふふふ…
「美味しい!彰、最高!」
機嫌よく食べるあたしを、ニコニコしながら、彰は見てるばかりで、食べないから、聞いてみた。
「…食べないの?彰は?」
「食べるよ。…でも、千秋の幸せ一杯の食べてる顔見てからね。
食べられる幸福と、食べてる幸福だっけ、あれにプラスするとしたら、一緒に分かち合える幸福だよ。
君の幸福を分けてもらえる、俺は、幸福だよな。
さて、食うかな…いただきます。」
時々、彰は、あたしの心を震わす言葉を、サラっと、投げて来る…。
一人では、決して出来ない、分かち合うこと…。彰と、出来て幸福なのは、あたしの方だよ…。
「…うん、上出来!」
自画自賛する彰に、クスクスと笑いながら、あたしも幸福を噛み締めていた。
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