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2月14日…、世間様では、バレンタインで、浮かれてる日。贈呈本が、印刷所から、直送されてきた。
今回は、二つの出版社から、同時に出すので、印刷所を同じにした。
別々の所に頼んでもいいが、何かアクシデントがあったときに対応しやすいだろうと、話し合って決めたことだ。
「なかなか、いいアオリだな。」
【俺の心が、汚れたら、この子達も、濁ってしまう…いつでも、この子達の様に透き通っていたい…】
【わかったよ…あれは、ただの硝子細工じゃない!この美ら海なんだね…】
「あたしが、書いた台詞だもの!いいに、決まってるでしょ、彰。」
青い表紙は、丸岡から出るやつ。主人公は、琉球硝子の職人をしている青年。
緑の表紙は、山河から出るやつ。主人公は、都会の生活から逃げ出してきた、旅行客の女の子。
どちらの本も、筋書きは、同じ。
青年の工房に見学に来た女の子が、彼の作る、硝子細工に、魅せられて通う内に、青年に恋をする…。
それぞれの主人公の視点で、書かれているので、おなじことでも、見方も感じ方も、違う書き方が、されている。
二つで、一つの物語といえば、いいだろうか。
1冊どちらか読んだらいいやと、言われては困る。…あくまでも、2冊で、ひとつの物語なのだから。
「…ちぃすぅ!」
「お疲れ様です。」
「…来たか、二人とも。」
「おおぅ!あの絵が、こんな風になるのか!」
「相変わらず綺麗ですね、高見沢さんのデザイン。」
「来てすぐで悪いな、これ2冊セットして箱入れしてくれるか?」
「箱?どこですか?」
「悪い、悪い…。」
速水は、表に何か綺麗なデザインが刷られている厚紙の束から、1枚を取出し。
「…これを、ホイホイと、これで、出来上がりだ。こいつも頼むわ。」
「…このパッケージのデザインも、高見沢さんですか?」
「ああ、追加で、仕事してもらった。
仕事終わったら、持って帰ってやれよ、彼女達に。」
「早苗ちゃんと、郁美ちゃんのために、新しいサインで、入れといてあげるわね。」
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