春を待つ季節

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「はーい、お待たせ♪ チョコたっぷりの千秋特製バレンタインケーキだよ♪ 郁美ちゃんと早苗ちゃんも、どうぞ。」 千秋が、取り分けてみんなに配る。 「どう?彰?」 「…美味いな。甘すぎない、ちょうどいい。」 「よかった♪」 和樹達にも、好評で、千秋は、上機嫌だ。 少し休憩した後、パッケージングの終った本を、貰って、上機嫌の郁美と早苗を連れて、和樹と亀山は、帰っていった。 残りを、片付けていると、速水が、千秋の側に、来て手伝いはじめた。 「どうしたの?」 「…う~ん。…早く片付けてさ、ゆっくりしない? さっきのケーキだけじゃ、物足りないな…なんてねぇ。ダメか?」 「もう…彰ったら…。 ここでの、お誘いは、NGじゃなかったっけぇ?」 千秋に、そう切り返されて、バツの悪そうな顔で、立ってると、ギュッと抱き着いてきて、パッと離す。 「続きは、後でね♪…片付けちゃおう、ねっ。」 ここでは、こういうのはNGって、決めたのは、俺だ…。 だから、千秋が、どんなに俺に、ちょっかい出してこようと、全部拒否してきたのに…。 俺からやるなんて…どうかしてる…。 なんなんだろう…不意に、千秋を欲しくなった…。 無性に、触れたくなった、千秋に…。 今まで一度も、くれたこともないチョコ…まあ、ケーキだけど…くれたりしたからか? それとも、若いあいつらに、当てられたか…。 なんか…俺らしくないな。
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