春を待つ季節

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「彰、終ったよ。帰ろう、家に…。」 「ああ…。」 「…すねてるの?さっき、ダメって言ったから…。」 「いいや…あれは、千秋が、正しいから、すねる理由には、ならないよ。 それに、すねてる訳でもないし…。 考えてたんだ…なんで、俺らしくもないこと、やってんだろうなって…。 まあ、いくつか、きっかけになりそうな事、思いついたんだけど…。 なあ、聞いてもいいか? お前、今年に限って、なんで、バレンタインに参加してる訳? 今まで、俺に、義理チョコ一つ、くれたことないだろう? どういう風のふきまわしなんだ?」 「あたし…義理チョコって、嫌なんだ…。 だから、本命チョコしか、あげたことないよ…。って、言っても、相手は兄さんだけど…。 兄さんと、離れてからは、誰にもあげてない…。 彰と、付き合いはじめてから、あげたいなとは、思ったんだよ…。 でも、なんか、タイミングあわなくて…。 去年は、婚約の事と、仕事の事で、バタバタしてたしね。バレンタイン忘れてた…。 今年は、結婚して、初めてだし、でも、ただのチョコじゃ嫌だなって…。で、チョコケーキに、したんだけど…。 …駄目だったかな。」 「…そんなことないよ。 そうか…千秋は、千秋で、気にしてたんだな。」 「うん。」 「和樹にさ、お前に、チョコもらったことないって、言ったら、嘘だ!信じられない!ありえない!…後、何だっけかな…。 なんか、一杯、帰る間際まで、責められたぞ。 俺は、もらってない側なのに、なんで責められるんだ?…おかしくない?」 「そんな真面目な顔して、聞いてこないでぇ…。なんか笑っちゃうから…。」 「お前が、くれないからだろ?」 「クスクス…そだね、ごめん。じゃあ、家に、まだ、材料あるから、さっきと、違うもの作ってあげる。 彰だけにだよ♪特別だよ♪」
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