春を待つ季節

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なんか、あれ欲しい、これ欲しいって、駄々こねてるガキか?俺は…。 まあ、滅多にないことだから、許してくれよな、千秋…。 キッチンで、鼻歌混じりに、作ってくれてる千秋を見て、俺まで、鼻歌歌いそうになる。 千秋が、俺のためだけに、作ってくれるチョコスイーツって、何だろうな? ん?…待てよ…。 俺達って、こういう恋人同士なら、誰でもが、体験するようなこと、案外、経験してないっていうか、マジで、ないんじゃないか? 改めて気付く…恋人同士が歩いてくる道にある、いろいろなものを、俺達は、すっ飛ばしてきてる気がする…。 だからなのか…?今、こんなにも、ワクワクしたり、変な事に、こだわったりするのは。 「…うふ。出来た♪」 千秋が、ニコニコとしながら、皿を差し出す。 「まずは、はい、温ったかいのね。 特製チョコクレープだよ。生地にもチョコ入れてあるんだ♪食べて、食べて♪」 生地で巻かれた中のクリームにも、チョコを入れてある。 かけられてるソースは、爽やかなオレンジ。 「…しつこくなくて、いいな。美味しいよ。 まずは、って言ったよね。まだあるの?」 「うん、今、冷蔵庫の中。冷えるまで、もうちょっと待ってね。 それまでの時間、あたしを食べてていいよ…。」 「…腹一杯になりそう。」 かなわないなあ…という、顔をしながらも、本心は、めちゃくちゃ嬉しい。 「おいで…。」 膝を指差すと、俺の上に横向いて、千秋は座る。 こういう時は、お決まりのキスから…。 「…彰の唇、チョコの味がする。甘い…。」 「そらそうだろう…もっと味わいたい?」 そう聞いたら、千秋から、唇を重ねてきた…。 その後は、関を切ったみたいに、お互いを求めあっていた…。
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