638人が本棚に入れています
本棚に追加
「…千秋、いつまで泣いてるんだ?…俺は、気にしてないんだから、泣くな。」
「…でもぅ。」
「いい加減にしろ、千秋。
お前は、去年の今頃、匠のことで、一杯悩んだだろ。
全部、俺にぶちまけて、一緒に、どうすればいいか、考えただろう。
お前の中の、もう一人の千秋のことだって、俺は、納得済みで、婚約したんだし、結婚したんだ。違うか?」
「…違わない。」
「なら、ぐだぐだいつまでも、言う必要ない。
あれも、お前だ…俺は、拒んだりしない。まとめて、引き受けてやるから…。」
「…ありがとう。彰。」
速水は、千秋が、落ち着いたのを確かめてから、ニヤッと笑ってから、悪戯っぽく、こう言った。
「ただなぁ…あっちになった時の千秋…色っぽいんだよなぁ…。いつもの数倍、エロいし…封印しちまったら…ちょっと、残念かな…俺としては…。」
それを聞くなり、ぷうっ、と、頬を膨らまして、千秋は、叫んだ。
「もう!彰!…人が悩んでること、茶化さないでよ!…意地悪なんだから!」
「そんだけ元気なら、もう大丈夫だな。」
ケラケラ笑いながら、速水は、下を指差す。
「…このままってのは、ちょっと、格好つかないんで、着替えていいかな?」
「ごめんなさい!…すぐに、どくから!」
あたふたする千秋が、おかしかった。
とりあえず、脱いだジーンズ履いて、体裁を整える。
「…なぁ、千秋。…もしかしたら、俺達、神様に、試されてんのかもな。」
「えっ?」
「俺達の周りにさ…事件、起こりすぎだろう?
…何があっても、揺るがない絆を、築いてるかどうかさ、確かめられてるのかなってさ。」
最初のコメントを投稿しよう!