春を待つ季節

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「…千秋、いつまで泣いてるんだ?…俺は、気にしてないんだから、泣くな。」 「…でもぅ。」 「いい加減にしろ、千秋。 お前は、去年の今頃、匠のことで、一杯悩んだだろ。 全部、俺にぶちまけて、一緒に、どうすればいいか、考えただろう。 お前の中の、もう一人の千秋のことだって、俺は、納得済みで、婚約したんだし、結婚したんだ。違うか?」 「…違わない。」 「なら、ぐだぐだいつまでも、言う必要ない。 あれも、お前だ…俺は、拒んだりしない。まとめて、引き受けてやるから…。」 「…ありがとう。彰。」 速水は、千秋が、落ち着いたのを確かめてから、ニヤッと笑ってから、悪戯っぽく、こう言った。 「ただなぁ…あっちになった時の千秋…色っぽいんだよなぁ…。いつもの数倍、エロいし…封印しちまったら…ちょっと、残念かな…俺としては…。」 それを聞くなり、ぷうっ、と、頬を膨らまして、千秋は、叫んだ。 「もう!彰!…人が悩んでること、茶化さないでよ!…意地悪なんだから!」 「そんだけ元気なら、もう大丈夫だな。」 ケラケラ笑いながら、速水は、下を指差す。 「…このままってのは、ちょっと、格好つかないんで、着替えていいかな?」 「ごめんなさい!…すぐに、どくから!」 あたふたする千秋が、おかしかった。 とりあえず、脱いだジーンズ履いて、体裁を整える。 「…なぁ、千秋。…もしかしたら、俺達、神様に、試されてんのかもな。」 「えっ?」 「俺達の周りにさ…事件、起こりすぎだろう? …何があっても、揺るがない絆を、築いてるかどうかさ、確かめられてるのかなってさ。」
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