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「あたし…今年も、プレゼント用意できてないや…。ごめんね。」
「そんなもん、いらねぇよ…。俺は、十分な物、お前からもらってる。だから、これ以上は、贅沢だ。」
「…あたしは、何もあげてないよ?」
「千秋は、自分で、気付いてないだけだ…。
俺は、お前に出会ってから、ものすごく沢山の物を、もらってるんだぞ。」
そう言って、ふわっと抱きしめる。
「…それに、見合うだけのもの、俺は、返せない…。
こんな、小さなプレゼント一つや、二つで、返せないんだよ…。」
「…あき…ら。」
「お前に、プロポーズした時に、言ったよな。
二度と、この手を離したくないって…。
残りの人生、あと何十年あるのか知らないけど、最期の瞬間まで、ずっと、千秋と一緒に、生きたいんだ。
お前と生きる人生は、俺のすべてだ…。」
速水の言葉は、多分、他のどんなプレゼントより、素敵な贈り物だ。
「…あたしだって、彰に、どれだけ沢山のものを、もらっていると思ってるの?
そのお返しは、あたしだって、出来てないよ…。」
抱きしめていた手を解いて、千秋の顔を、覗き込みニコッと、笑いながら、言った。
「…今年は、めちゃくちゃに、でっかいプレゼント、先にもらったけどな。」
「えっ?」
「光輝。…産んでくれたじゃないか。
お前は、俺に、また一つ、幸福をくれたじゃないか。
それ以上の贈り物が、あるなら、見てみたいな…。」
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