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私の迎えを今か今かと待っていた弟の龍麻。
「龍!いい子にしてた?」
「してたよー!」
「そっか♪帰ろう。」
「かえろう!」
私の命より大切な龍。
小さな手を繋いであの家に帰る。
小さな一軒家、そこが私達のお家。
私はキッチンに立ち今日の夕飯を作る。
「龍?ご飯だよ。」
「はーい!」
少ないお米と、安売りの肉を炒めただけの夕飯…
これが家の限度…
「リコのごはんは?」
「私はね、ダイエット中なの!」
「そっか!」
多分理解出来てないと思うから龍が小さくてよかったと思う。
龍の無邪気な笑顔を守りたいから。
ご飯を食べさせてからは、おにぎりを作って玄関からすぐの部屋の前に置く。
これは毎日やっていること。
この家にはもう一人いるから…
おにぎりを置いたあとはお風呂に入れる。
一緒にお風呂に入って龍の頭をゴシゴシ洗った。
龍を綺麗にして今度は自分を洗う。
お風呂から上がると龍の髪を櫛でとかしながら乾かした。
今度は布団に入って寝かしつける。
遊び疲れてたのか、すぐに眠ってしまった龍を起こさないように部屋を出た。
私の仕事はここで終わらない。
次は深夜のバイトだ。
「もう夏だねぇ。」
いつもの夜道を歩いてバイト先に向かう。
「おはよう。」
「あ、リコさんおはようございます。」
「今日は海道くんだったんだ!」
海道くんは18歳で私は年を誤魔化して働いてるから19歳ってことになってる。
本当は海道くんより年下なんだ…
学校を辞めて働こうとも考えるけど、この不景気に高校中退はヤバイ。
今は高卒でも厳しいっていうし…
卒業したほうがいいのかなぁ?
…
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