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何の音もしない。耳の奥に何か詰まっているのか?自分の心臓の音も、呼吸の音も、血流の音すらしない。重い腕を上げ耳に触れる。耳はある。耳を塞ぐ。普通ならザァーだか、ゴーだかの何らかの音がするはずだ。だが、何も聞こえない。
「俺……死んでる…?」
うっすらと目を開けると、そこは薄暗い場所だった。何もない。草木も建物も、人っ子一人すらい。
「ここは…天国か。」
人生17年。今まで天国なんてもの信じてなかった。
この年にもなって天国とか、違和感はあるな。
「天国って、薄暗いのか。」
「ここは天国ではありませんよ。」
「そうなのか?だったら……………。」
自分の独り言に返答があったから思わず続けちまったが…。
ゆっくりと声のしたほうを向く。そこには白いマントを纏った長髪の男がいた。ぱっと見女?とおもうが、顔の作りが引き締まっていて男だ。美少年とはこいつのことか?ジャ○ーズに普通に入れそうなイケメンだ。
「じゃなくて、あんた誰?」
俺は自分の考えに突っ込みをいれ、男に聞いた。
男はため息をつくと、懐から分厚い本を取り出した。ページをめくり半分くらいで止め目を通す。
「新島淳。17歳。北島高校普通科。母、父、姉の四人暮らし。高校でも家庭でも上手くいかずに、八月二十六日学校の屋上から飛び降り自殺。急いで病院に運ばれるが死亡。」
―――なんだこいつ…。俺のことわかりすぎじゃね?まさか…ー
「ストーカー?」
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