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「千尋には二つ選択肢がある」
裕二の目は悪戯っぽく、微笑んだまま。
「その重たーい画材を持って、傘を持つか…」
言われて、手元を見る。
確かに重たい。
「俺の傘に入るか」
「な!!!!!!」
公衆の面前で何言い出すんだ!
と叫びたい気持ちを抑えたら、余計に顔が赤くなった気がした。
だけど、誰も俺等の会話には気付いてない。
しとしと
ピシャピシャ
静かで騒がしい雨音が、空間を遮断してるみたいだ。
「どうする?」
聞いたって答えなんて分かってるような顔。
なんて憎らしい。
そう思い通りにはいかせない。
「持つよ、傘。自分で」
ぶっきらぼうに言って、手を差し出す。
ふーん、と眉をあげ意外と素直に裕二は傘を渡してくれた。
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