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僕には友達はいない。
正確にはついさっきまで“親友”と呼べる者はいた。
喧嘩をして、「絶交な」と軽い一言で僕達の縁は途絶えてしまった。
そして、今路上に佇む状態だ。
さっきまで晴天だった空模様が雨天へと早変わりしてしまった。
まるで僕の心を描写するように、もしくは嘲るように。
行く当ては家しかない、そんな現状が雨を一層強くした。
僕が友達がいない理由は
暗い、薄い、湿っている、
最後のはいらないかもしれないが、その三拍子がそろっているからだと思う。
なぜ、親友だった奴が親友だったのかは未だ不明だ。
喧嘩の理由は何か?
それは、只今下校中のことだ。
その親友だった奴とは家が近くよく一緒に帰る。
「友達をつくれよ。」
親友はそう言い出してきた。
その返答は
「お前だけで十分。」
僕は呆気なく答えてやった。
「ねぇ、さあ。俺はそういう事を言いたいんじゃない。」
「じゃあ、何?」
僕は眉をひそめる。
「もっと視野を広げろって事。人としゃべらなくちゃ。」
「面倒くさい。勇気をふりしぼるの。」
「いつも、友達欲しいって言ってるくせに、何?
逃げるのか?いつも俺は友達をつくれよと提案している。でも、“嫌だ。面倒くさい”そんなんばかりじゃないか。」
何なんだよ。
「ほっといてよ。」
「知らねぇからな。助けなんて求めるなよ。お前、そんな奴だと思わなかった。もっと…いや、なんでもない。絶交な。」
こちらもそれを願う。さっさと消えてくれ。
親友は走り去っていった。
そして、今に至る。
僕は心の中であんな暴言を吐いたが、やっぱり寂しかった。
親友は涼(りょう)と言う。
今までずっと仲良くしてきた。
と言っても、中学のからの仲だが。ついでに説明すると今、中学二年生だ。
中学生活、最絶頂のはずなのに友達は一人もいない。
自分がかわいそう等と狂った発言はしない。だけど、寂しい。
さっきの喧嘩は僕が確実に悪い。我に帰ってみると、悔しさと恥ずかしさの混ざった気持ちが込み上げる。
制服も教科書もびちょびちょなんだろうな。そして、僕の心も…
あぁ、気持ち悪。なんか、壊れてきたかもしれない。
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