はじめに

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子供は時に、正直であり、大人が想う世の中のこと全て知らない。 両親とは、実に似たもの同士ではないかと思う。 父も母も、財産と呼べるお金の貯金すらなくて。 残ったのは、借金のみ。 あらゆる所から、お金を借りまくっていた。 サラ金にも、両親は手を出してしまっていた。 そして、懲りもせず、借金をしては金融業者に追われ、返済しても、懲りることはなく、また借金をし逃げる当事者。苦痛な日もあたしにも姉にも祖母にも向けた。 二度あることは三度あるのか、と。 あたしは、中学も高校もしつこく金融業者に追われていた。 平和だった日が、残酷な日になろうとは。 祖母が一番苦労をしている。 今でも、その当時のことを辛かった。育て方が悪く甘やかしてしまったと悔いていることがある。 お金さえあれば、 自由も幸せも手に入れることができたのかと。 それでも、祖母は、今ある現在が幸せだと語っている。 父が自己破産し交通事故に遭い病気になったからこそ、同じ過ちはすることがないからと話している。 誰が悪いわけではないのだろうけど、祖母が幼少の頃から貧しく若くして働いているからこそ、元気で生きていなければいけないとよく話をしている。 神様がいるのであれば。 苦難ばかりな人生でも、少しでも良いから幸せを願っても良いのではないか。 人によって、幸せの度合いは測りしねないけれど、運命には逆らえない。 流れに身を任せるしかないのかな。 生かされている以上、使命や正義感、希望を少しでも持たなければいけないのかな。 それとも、未来があるのなら。 試練は時として、自分自身さえも見えなくなる。 どう考え、どう感じるか、 どう生きるかは自分次第だね。 人は、ひとりでは生きていけない。 誰かの支えがなければ。 分かち合って、支えあって、 共感し、時に対立したり。 一人では喜怒哀楽も感じないから。
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