はじめに

7/7
前へ
/464ページ
次へ
あたしは、高校の時に夢を持った。 それは、看護師である。 人の命を助けるお手伝いがしたかったから。 本音を言うと、 母が死んだ原因を探りたかったからである。 看護学校を受験したが、見事に不合格。 一般事務(病院関係)には合格したが、通うつもりはなく、就職した。 進学も考えたが、家の経済事情を考えたら、進学するより車の運転免許を取得した方が、将来何かと役に立つのではという理由だった。 浪人して受験をしようとも考えたが、お金が必要であるとその当時想い、就職した。 一般事務に就職するも、 ストレスが溜まり、あんなに毛嫌いしていた煙草にも手を出した。 そして、3カ月で退職。 プー太郎生活にも1カ月したが、遊ぶお金もなく、バイトをすることにした。 その頃、台風が2度も来て、 家は床上浸水。 知らせてくれたのは、飼っている犬だった。 犬は賢く、予知をしているのか吠え方がいつもと違っており、様子がおかしいと外に出ると、水がだんだんとかさを増して押し寄せている。 家族をすぐさま起こし、安全な所へ避難した。 猫も飼っていたが、ペット用のかごに中々入ろうとしなかった。 パニックに陥りそうだった。 海や川からの氾濫のため、水かさが徐々に押し寄せてくる。 トイレも行けず、家では畳が浮き、机などの家具も浮くような状態。 災害にあったのは初めてだったので、まさかこんなことになるとは想いもしなかった。 人生とは、何が起こるか分からない。 例え、予言があるとしても。 想像すらも、越えてしまう。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加