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屋上に着くと凉子がベンチで珈琲をすすっていた。やはりビビりな平社員どもとは格が違うらしい。
「ようっ、宇宙人が攻めて来たってのに随分と余裕じゃねぇか」
ベンチで腰掛ける凉子はオレの声に驚く様子も見せず振り向きもしないまま答えた。
「あはっ、宇宙人攻めてきて落ち着いていられる人は精神異常者か桐弓ちゃんくらいだよ♪私なんか怖くて怖くて」
ケタケタと笑いながら涼子は言う。
「お前オレのことバカにしてるだろ!てか精神異常者は常に落ち着いてなんかいねぇよ」
虚しいオレの叫びに涼子は再びケタケタと笑った。
「まったく」
そう言って凉子の隣に腰をおろしなっちゃんを一口。五臓六腑に染み渡るなっちゃんはいつもながらオレに安らぎを与えてくれる。
「桐弓ちゃんは相変わらずなっちゃんなんだ……男ならダンディーに珈琲飲みなさいよ」
涼子は自分が飲んでいた缶珈琲をオレに差し出してくる。
「そうだな……オレはダンディーだからたまには珈琲もいい」
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