侵略①ー①

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「要らんっ、何を盛られるかわかったもんじゃねぇ」 「ぶぅーー」 可愛げに頬を膨らませてもオレには効かん!その整った顔の裏に隠された海より深い陰謀には騙されない!! だがしかし!! 彼女の弁当は毎回思うが完成度が高い。レパートリー豊富な彼女の弁当はいつもオレに食べてくれ!いやっ、食べて下さい!!と言わんばかりにその匂いを漂わせてくる。 何度かおかずを食べさせて貰ったがその旨さは想像を遥かに超えていた。 毎日作ってきてくれるならこれほど有難いことはない…… だが忘れてはいけないのがこの女のズル賢さ! 以前、仕事を手伝うという名目でオレの住むマンションに無理矢理入り込んできたこの女はオレがお茶を準備している僅か五分足らずの時間でオレの部屋に隠されし伝説の秘宝(ただのエロ本)を見つけやがった! 辞書カバーの中という緻密に計算されたその場所に辿り着くのに僅か五分足らず!五分足らずで!!五分足らずという短い時間でオレの施したバリケードは崩れ去った。 3回繰り返したとこ重要ね。 「雑誌やマンガの中に辞書が混じってるってのが怪しかったのよね~」 盲点だった……
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