黄巾討伐戦

2/5
101人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
劉備が何件かの酒屋や、街中で演説をし、人を集め、関羽が人柄などを選別し、張飛が体力などを見、ついに劉備軍は百五十人となった。 「僅かな軍勢。だが、ここが我らの出発点である。関羽、張飛、これからはよろしく頼む。」 「もとよりそのつもりでございます。我らの軍勢は少ない故、機を生かした戦い方をするべきでございましょう。」 関羽は多少の軍学は得ていた。少人数の戦なら自負も持っていた。 …しかし、劉備という男…何か引き付けるものがあると、ふと、関羽は不思議に思った。ひとつ間違えば、賊の集団である。その集団を義の軍勢と疑うことが、出来はしない空気を持っているのである。やはり、劉備の存在が大きいのだと思えた。 兵一人一人にでさえ、何事も平等なのだ。劉備の美徳と言っていいだろう。 そしてまた、張飛とは違い、いつもは頭で先に考えてしまう自分も、張飛につられ、いつの間にか義勇軍に入ると、言ってしまっていたのだ。しかも、義兄弟にまでなろうと言っていたのだ。 …不思議な男だ…。 「何だ?」 劉備が不思議そうに言った。 声にだして言っていたのに気付き、関羽は笑った。 「出発!!」 関羽の威勢のいい声が、風が吹く原野の中に、吸い込まれていった。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!