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『我の…………私の名前を………聞いて。そして………どうか、忘れないで』
途中からドラゴンの声が、綺麗で透き通る女性のものに変わった事に驚くが黙って頷く。そして、ドラゴンの言葉を聞き漏らさないように集中する。
『ありがとう………私の………主につけてもらった…………大好きで、とても大切な名前………私の名前は…………《リリィ》……』
大事そうに、嬉しそうに呟いたその名は、俺に自然と刻まれた。ここまで感情の籠もった言葉は初めてで、はっきり言って、今までの人生の言葉が軽く感じるほどだった。
「綺麗で可愛い名前だ。お前の………お前の主の名前は?」
お前はドラゴンに聞く。ドラゴンの墓を作るときに、一緒に名前を刻んでやりたいと思ったからだ。
『聞いてくれるの………?………主の名前は、《フレイヤ》…………ああ、語りたいのに………私には時間がない』
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