記憶

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「結月の嘘つき!」 茜はそう叫んだ。 「もうあの人には会ってないって そう言ったのに!」 「仕事だ。仕方ないだろ?」 結月がそう言うと茜は涙を流す。 「本当は解ってないんだよ結月は…」 「………?」 「私の痛みもヒロ兄ちゃんの痛みも 全然解ってないんだよ!」 茜がそう泣き叫ぶと結月は辛そうな顔をする。 その結月の顔を見て茜も辛そうな顔になり茜は結月にしがみつく。 「お願いだから私だけの結月で居てよ。 結月は私の憧れだったカメラマンの ヒロ兄ちゃんを私から奪ったんだから… 私だけの結月で居なきゃ許さないんだから!」 茜がそう言うと結月は泣きそうな顔をする。 そして茜を抱き締めてやる。 「ごめんな。」 結月がそう言うと茜は泣き出す。 そんな抱き合う二人を中からリコは見てしまっていた。 リコは想いとは裏腹に容赦なく痛む胸をなんとか落ち着かせようと、ぎゅっと胸元を押さえている。 そのすぐ後ろで響も結月と茜を見ていた。 そしてリコの傷付いた哀しい様子に何かあると感づいた顔をしている。 何を話していたんだろ? あんな哀しいユヅの顔を私は初めて見た。 そして…あんな風に優しく誰かを抱き締めるユヅも…。 リコは二人に見つからない様に身を隠し窓の外の夜空の月を見上げている。 響もリコに吊られたようにただじっと月を見ていた。
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