哀しい真実

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焼肉屋を出た千春とリコは車まで歩いている。 響と穂が後ろで話している隙にリコに話し掛けた。 「リコちゃん結月…リコちゃんに 会わす顔ないって…さっき電話来たわ。」 「そうですか…」 「先に帰った事も謝ってた。 自分から誘ったのにって…」 「そうですか…」 千春は心此処に有らずなリコを心配そうに見つめている。 「リッコちゃん!」 千春はそう言って突然リコの肩を抱く。 リコは驚き笑う。 「どうしたんですか?」 「酔っ払っちゃったみたい!」 千春はそう言ってリコに抱き着く。 リコは少し泣きそうになる。 そこへ穂が笑って駆けて来る。 「なにハグしてんのー?」 「ぉ!穂!車まで、おんぶしてー!」 「はいー?」 穂は苦笑いする。 「いいから早く! 今日は立ちっぱなしで足パンパンよ! あんたと違って若くないんだからー!」 「はいはい。解りましたよ。」 穂はそう言って千春をおぶってやる。 リコは笑っている。 「響ちゃん!響ちゃんもリコさん おんぶしてあげなよ。」 「はぁ?やだよ。」 響がそう言うとリコは響を見る。 「いいねー!よーし! 柚原リコ行きまーす!」 リコはそう言って響の背中に突進して行く。 「お、おい!嘘だろ?」 響は咄嗟にかがみリコを背負った。 リコは笑っている。 千春も笑う。 「よし穂!二人を追い越せー!」 「了解っす!」 千春を背負った穂は走って行く。 「あ!追い付かれる! 響くんスピード全開!」 「ったく…」 響はそう言いつつも笑って走り出す。 リコと千春は叫んでいる。 途中で穂は力尽きてスピードを落とした。 響とリコは気付かず遥か先まで来ていた。 響はリコを背負いながら振り返る。 穂は地面にしゃがみこんでいて、そんな穂に千春は何やら文句言っている。 「勝ったな。」 「うん。」 響はそのままペースダウンしてリコをおぶったまま歩き出した。 リコは笑いながら夜空の星を見上げる。 「星みーっけ!」 そう言ってリコは響の背中で手を伸ばしたり背伸びしてみる。 「ん~~~!」 「届くかよ!」 響はそう言って笑っている。
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