求愛

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「どうした?」 結月はリコを覗き込む。 リコは首を振る。 リコは声を出せず首を振りながら涙を溢れさせる。 「お、おい…どうしたんだよ?」 リコは自分でも解らなくなるほど涙が込み上げてきて顔を覆い出す。 私…どうしちゃったんだろ? 何かが弾けたみたいに涙が止まらないよ。 リコがそんな事を思って居ると急に結月が抱き締めてきた。 リコは驚く。 「ごめんな…。こんなに泣かせるくらい 一人にさせて…傷付けて…。 もうおまえは何も気にせず、ただおまえが 今、一番望む事を教えてくれ。 どんな事でも俺はそれを受け止めるから。」 私が望む事…………。 それは………… 「ユヅ…」 「ん?」 「私……」 「うん…なんだ?」 結月はそう優しく問う。 「私……ユヅと居たい…。 ユヅと居たいよ。」 リコはそうやっとの思いで言葉にして結月にしがみついた。 結月も泣きそうになりながらリコをより力を入れて抱き締める。 「解った。もう離さない。 もう泣かせない。 今度こそ約束する。」 結月がそう言うとリコは涙を溢れさせ結月の胸に顔を埋める。 「茜と神崎さんとちゃんと話して 必ず解ってもらえる様にするから だからそれまで俺を信じて 待って居てくれるか?」 結月がそう言うとリコは涙を堪えながらこくんこくんと頷く。 すると結月はリコの頭を撫でる。 「ユヅを信じるよ。」 リコがそう言うと結月は堪らなくなりまたぎゅっと抱き締めた。 私…やっぱりユヅと居たい…。 ユヅじゃなきゃだめなんだ。 リコは結月に抱き締められながら、そう強く思って居た。 その頃…東京のホテルの一室のバスルームで茜は手首から血を流して倒れている……。
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