信愛

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「もーう!この子ったら…きっと お母様じゃなくて真っ先に自分が リコちゃんを抱き締めたかったのよ!」 「バカ!ちげーよ!」 結月がそう叫ぶと、ひばりも笑い出す。 「なんだ。そりゃ悪かったな。 ほら存分に仕切り直しなさい。」 ひばりはそう言って笑う。 「だから、ちげーって。」 結月は顔を赤らめそわそわしだす。 そんな結月を皆は笑っている。 「さぁ今夜は久々に此処でパーティーだ!」 「ちょっとお母様…もう遅いのよ?」 「なーに、今夜は特別だ。 リコ…悠と翼はどうした? 二人も呼びなさい。」 「今、寝ちゃった翼さんを 悠くんが起こし…………」 リコはハッとし玄関から外へ走り出す。 「お、おい?」 結月はリコに叫ぶ。 リコは外に出て来て悠の車も悠の姿もない事を知り立ち尽くす。 悠くん……帰っちゃったのか…。 リコがそう思い立ち尽くしていると後ろから結月がやって来る。 「悠達…帰っちゃったのか…?」 「うん…。」 「気を使ってくれたんだな。」 「うん…。」 リコがそうただ前を見て居ると結月は屈みリコの顔を覗き込む。 「な!なに…近っ!」 リコは顔を赤らめ顔を背ける。 「久々に顔よく見せろよ。」 「はぁ?さっき見たでしょ! ほら行くよー?」 リコがそう言って歩き出そうとすると結月は叫ぶ。 「足りねーよ!」 リコは止まり結月を見る。 「全然 足りねー。」 「……………?」 すると結月は足早にリコへと近付きリコを抱き寄せる。 「………………!!」 リコは結月に強く抱き締められ少し驚いている。 「ごめんな。待たせて…。 もう離さない。」 結月がそう言うとリコは目を閉じ結月の背中にぎゅっと、しがみつく。 「うん。もう何処にも行かないで…」 リコがそう言うと結月はまたより力を入れリコを抱き締める。 そんな二人を玄関のドアの隙間から小百合と真木とひばりは笑って見ている。 そして結月とリコは口づけを交わす。 夜空に浮かんだ月が、まるで二人を見守る様に暖かく照らしている……。
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